- Home
- 国際経済オリンピック(International Economics Olympiad)
国際経済オリンピック(International Economics Olympiad)
国際経済オリンピック(IEO)2024香港大会 日本代表団 報告会(Youtube)
国際経済オリンピック(IEO)2024香港大会 日本代表団 報告書(下記PDF)
- 後援
- 協力
- 日本代表派遣パートナー
- 国際経済オリンピック(IEO)とは
- IEO2024・香港大会
- 総括
- 壮行会
- 行程
- 日本代表選考・派遣
- 代表感想
- IEO2027 日本招致決定!
- EAC2024とは
- 国際経済オリンピックの主催者
■後援
■協力
■日本代表派遣パートナー
■国際経済オリンピック(IEO)とは
国際経済オリンピック(International Economics Olympiad、IEO)は、高校生の、金融と経済の知識や技能を競う国際大会です。
国際科学オリンピックに属し、2018年より毎年開催されています。世界的に学校のカリキュラムに含まれていない事の多い、経済学と金融リテラシー教育の普及を目指しています。
各国・地域から1チーム(主催国は2チーム)が出場し、英語で出題される経済学、金融リテラシー、ビジネスケースの3つの科目で競われます。1チームは5名の代表選手と、2名のチームリーダー(引率者)で構成されます。
運営主体は「国際経済オリンピック協会」です。スイス民法典(CC)に基づき、スイスのベルンに本部を置いています。協会は政治的・宗教的に独立しており、中立です。日本代表は認定NPO法人金融知力普及協会が選抜・派遣しており、日本の優秀な若者が経済に興味を持ち、世界中の若者たちと友好関係を築き、国際的なコミュニケーションを深める機会となっています。
IEOの使命
世界中の高校教育の現場での経済学と金融リテラシー教育を推進する。
IEOの目標
- 世界中の学校のシラバス(授業計画)と実践に関する情報交換の機会を作ること
- 経済、金融、ビジネスの分野で優れた才能を持つ若者を発掘、奨励し、表彰すること
- 国際大会の高水準を維持すること
- 金融経済に興味を持つ若者たちの友好関係、国際的なコミュニケーション、競争心
を奨励すること - 金融経済に興味を持つ有能な若者たちのリーダーシップを育成すること
IEOの歴史
2018年 モスクワ (ロシア)
13か国64人が参加。ロシアHSE大学のホストで初開催。
優勝はラトビア、準優勝はロシア、銅賞はブラジルとカザフスタン。
2019年 サンクトペテルブルグ (ロシア)
24国131人が参加。金融リテラシーゲームを導入。
マッキンゼーがビジネスケースを作問。
優勝はブラジル、準優勝と銅賞を共に中国チームが獲得。
2020年 オンライン (カザフスタン)
29か国130人が参加。コロナ禍により、完全にオンラインで実施。
優勝はブラジル、準優勝はインドネシア、銅賞はロシア
2021年 オンライン (ラトビア)
44か国217人が参加。引き続きオンラインでの実施。
開会式にはラトビア大統領 Egils Levits 氏が参加した。
優勝はブラジル、準優勝はカナダ、銅賞はアメリカ
2022年 オンライン (中国)
40か国201人が参加。3度目のオンライン。
5か国が集まりトルコから参加した。
優勝はアメリカ、準優勝はブラジル、銅賞はカナダ
2023年 ボロス (ギリシャ)
47か国223人が参加。テッサリー大学がホストし、集合とオンラインの合同での形式となった。ギリシャに集まったのは14か国。日本代表が初参加。
優勝はブラジル、準優勝はインドネシア、銅賞はカナダ
2024年 香港
■IEO2024・香港大会
参加国
昨年に引き続き、集合とオンラインのハイブリッド形式となりました。下記52か国が参加(英名順)
今回大会の国別成績
2024年大会の参加者237人のうち、金賞は18人、銀賞は36人、銅賞は64人でした。
チーム | 総合順位 | 金メダル | 銀メダル | 銅メダル |
シンガポール | 金賞 | 3 | 2 | |
台湾 | 銀賞 | 3 | 1 | 1 |
ロシア | 銅賞 | 3 | 1 | 1 |
ブラジル | 4位 | 2 | 2 | 1 |
カナダ | 5位 | 3 | 2 | |
中国 | 6位 | 1 | 4 | |
香港① | 7位 | 3 | 2 | |
韓国 | 8位 | 1 | 1 | 2 |
カザフスタン | 9位 | 2 | 3 | |
香港② | 10位 | 1 | 2 | 2 |
日本代表の成績
大会 | 総合順位 | 金メダル | 銀メダル | 銅メダル |
2023年 | 31位 | 1 | ||
2024年 | 39位 | 1 |
IEO2024香港大会 公式HPは https://2024.ecolymp.org/(外部リンク)
■総括
鈴木 達郎
金融知力普及協会 常務理事・事務局長
国際経済オリンピック 国際理事
昨年8月灼熱のギリシャでIEO2023が閉会した時から、今回の挑戦が始まっていました。メンバーの選考や教育体制の確立、NPO法人として代表団を送り出すための派遣パートナー企業集め、そして日本としてIEOの発展にどのように貢献していくか。
ギリシャでは右も左もよくわからない状況でした。できるだけ情報を集め、多くのコネクションを作る為に奔走しましたが、その結果事務局のアレックスさんと、マカオの送り出し団体のベニーさんと特に強いつながりを作ることができました。
アレックスさんは、エコノミクス甲子園の視察に来日し、深く感銘を受けた様でした。結果2027年大会の日本招致に大いに賛同頂くことができました。
またベニーさんとは、代表メンバーの強化という面で意気投合し、合同で合宿(EAC)を行うに至りました。
2023年のエコノミクス甲子園優勝者は、NY研修旅行と、IEO代表の両方の権利を得るものでしたが、これは行き過ぎかという指摘があり、2024年の優勝者は、研修旅行がIEO代表のいずれかを選ぶ事に変更となりました。
また、エコノミクス甲子園での地方大会優勝を逃した生徒の中にも適格者はいるであろう事から、特別選考を実施することとなりました。
日本代表派遣パートナーとして、前回ご協力いただいた農林中金バリューインベストメント様、SMBC日興証券様、マニュライフ生命保険様に加えて、ウィーンの森様、笹川平和財団様、みずほ証券様、シンプレクス・アセット・マネジメント様、十八親和銀行様にご協力いただきました。おかげさまで無事香港大会に参加することができました。大変ありがとうございました。
高校生の経済学力の強化という面で、東京大学の青木教授のご協力を得られたことは非常にありがたいと感じております。実際学力面での成績は前回大会より改善しております。また、ビジネスケースのご指導を頂いた辻様は、オブザーバーとして香港までおいでくださいました。数多くの今後につながるアドバイスを頂いております。
代表の選考、強化やパートナー探しなど、様々な面でご指導を頂くため、国際経済オリンピック組織委員会として、武神様、馬渕様、水谷様のご協力を頂きました。また金融知力普及協会理事の皆様のご指導を頂いております。この場をお借りして感謝申し上げます。
今回香港大会での閉会式において、2027年大会の東京での開催が決定し発表されました。金融知力普及協会始まって以来の大事業になります。これは日本の金融経済教育を加速させるために大きな機会となりえます。引き続き皆様のご協力をどうぞよろしくお願いいたします。
今回の成績は銅メダル一つと、全体52か国中39位でした。英語ネイティブではなく、経済学の授業のない国としては大健闘だと思います。もちろんさらに良い成績を目指してまいります。
今回の香港大会に代表として挑戦した5名の若者達、お疲れさまでした。今回の経験が皆さんの、人間としての成長につながっていれば大変うれしく思います。
IEO2024への道
国内代表選考大会
日本においては、エコノミクス甲子園全国高校生金融経済クイズ選手権、および リアビズ高校生模擬起業グランプリが、国際経済オリンピックの代表を選ぶための選考大会となっています。さらに、今年は、エコノミクス甲子園全国大会の出場を逃した高校生向けの特別選考が実施されました。
代表最終選考合宿(Economics Asia Convention)
国内選考大会を経て選ばれた10名が、最終選考合宿(以下、EAC)に参加しました。マカオ、香港、ネパールなど、アジア各国の高校生と合同で、IEOとほぼ同じ内容の一週間の合宿を実施しました。
事前の学習
東京大学の青木教授のご指導の下、週一回のペースで計8回、ZOOMによる経済学の授業が行われました。大変得難い貴重な機会でした。また、ビジネスケースの対策として、プレゼンテーションの講座を、コンサルタントである辻様に頂きました。
国際経済オリンピック(IEO)本大会
■壮行会
代表の5人は居住地が離れていることもあり、出発の直前に東京にて壮行会を実施いたしました。
激励を頂いた皆様(順不同)
片山 さつき様 元内閣府特命担当大臣 自由民主党副幹事長 参議院議員
堀本 善雄様 金融庁 政策立案総括審議官
安藤 聡様 金融経済教育推進機構(J-FLEC) 理事長
大友 佳子様 金融経済教育推進機構(J-FLEC) 理事
後藤 歩様 SMBC日興証券株式会社 常務執行役員 CSuO
長原 正樹様 農林中金バリューインベストメンツ株式会社 執行役員
マーケティング&ブランドデザイン部 部長
加藤 真様 みずほ証券株式会社 執行理事
コーポレート・コミュニケーション部 部長
森 芽衣様 みずほ証券株式会社 コーポレート・コミュニケーション部
ヴァイスプレジデント
中村 輝政様 株式会社十八親和銀行 東京支店長
茶野 順子様 公益財団法人笹川平和財団 常務理事
成井 未生様 公益財団法人笹川平和財団 スカラシップ事業部
特任チーフコーディネータ
青木 浩介様 東京大学 大学院経済学研究科 教授
辻 隆征様 株式会社URPLAN 代表取締役
吉田 憲三様 元ニッキン 元取締役 取材局副局長
武神 淳之様 国際経済オリンピック日本代表組織委員会 委員
青井 七海様 東京大学 大学院生
清水 小楠様 東京大学 大学院生
武藤 真様 筑波大学付属駒場高校 IEO日本代表・補欠選手
金子 昌資 認定NPO法人金融知力普及協会 理事長
野中 ともよ 認定NPO法人金融知力普及協会 副理事長
森田 均 認定NPO法人金融知力普及協会 理事
鈴木 達郎 認定NPO法人金融知力普及協会 常務理事
■行程
マニュライフ香港・訪問
エコノミクス甲子園のスポンサーであるマニュライフの香港オフィスにご招待いただきました。アジアではかなりマニュライフ社は活躍しており、香港では第二位の保険会社なのだそうです。
オフィス案内や、キャリアセミナー等、大変勉強になりました。
開会式
開会式では、香港特別立法会前議長の曾鈺成氏など、VIPの参加の元、各国の入場や文化交流などが行われました。
日本チームは浴衣に着替え、会場の注目を集めていました。
20か国以上の現地参加国の代表が集まりアイスブレーキングやパーティなど、大変楽しいひと時でした。
経済学試験
選択問題と、小論文の4時間にわたる試験です。全体評価の半分を占める重要な科目です。
金融リテラシー試験
金融リテラシー試験は、今年からできた新科目です。生活経済・ライフデザインの分野での選択問題が出題されます。
香港観光
他の参加国と一緒に、香港の観光地である長州島に船で向かいました。
あいにくの天気で海水浴はできませんでしたが、現地の雰囲気を堪能しました。
ビジネスケース 準備
団体戦であるビジネスケース。お題の発表から24時間でプレゼンを完成させ翌日英語でに発表を行います。
今回はホテルのエグゼクティブスイートを用意し、万全の大勢で臨みました。
香港の住宅問題をどのように解決するか、全員で頭を絞りました。
ビジネスケース発表
昨晩ほぼ徹夜で作成したプレゼンテーションを英語で発表します。
分析力、解決策のみならず、プレゼン力や質疑応答など全ての点が評価対象になります。
日本を含め、各国ビジネススーツで臨みました。
閉会式
閉会式では、個人上位入賞者の発表やビジネスケースの上位チームの発表がありました。
各国メンバーの名前が出たときは大きな歓声が上がります。日本チームも小川君の名前が呼ばれた時には大変盛り上がりました。
香港ディズニーランド
大会終了後の観光は、経済オリンピックの恒例です。
今回は高校生で相談し、香港ディズニーランドを楽しみました。
スナップ集
■日本代表選考・派遣
日本代表は、日本国籍を持つ高校生の中から、認定NPO法人金融知力普及協会が主催する「エコノミクス甲子園」「リアビス」を中心に下図に従って5名が選抜・派遣されます。
全国高校生金融経済クイス選手権 エコノミクス甲子園
「全国高校生金融経済クイズ選手権 エコノミクス甲子園」は、高校生が2人1組で参加する、金融経済の知識を問う全国規模の教育イベントです。 投資などのお金を増やす知識だけでなく、生活する上で必要なお金の知識や、金融経済のニュースにかかわる知識なども問われます。各地の金融機関が主催し、 ほぼすべての都道府県とインタ ーネットにて行われる地方大会を優勝すると、東京で行われる全国大会に出場できます。 全国大会では、早押しクイズなどで知識を問うだけでなく、戦略性を問われるルールで競ったり、プレゼンテーションを行ったりします。
2023年2月に第17回大会が実施されました。
エコノミクス甲子園公式HPは エコノミクス甲子園 (econ-koshien.com)
リアビズ 高校生模擬起業グランプリ
「リアビズ 高校生模擬起業グランプリ」は、高校生で構成されるチームが模擬企業となって参加するコンテスト形式の教育イベントです。
各模擬企業は、オリジナル商品をネットショップで販売するビジネスプランを作成し、応募します。一次審査を通過することで提供される上限30万円の資金を用い、商品をネットショップで実際に販売します。 商品の仕入れや制作から広報、発送作業、貸借対照表や損益計算書などの決算書類の作成までを自分たちで行うことで、リアルなビジネスを体験できます。決算終了後、成果発表会にて、模擬企業での活動をプレゼンし、売上や書類の完成度、プレゼンの内容などからグランプリを決定します。 2023年2月に第3回大会の成果報告会が実施されました。
リアビズ公式HPは リアビズ 高校生模擬起業グランプリ (reabiz.jp)
日本代表最終選考会となるアジアの高校生との合同合宿「Economics Asia Convention(EAC)2024」につきましては、下記URLよりプレスリリースをご覧ください。
■代表感想
田代豊 Yutaka Tashiro
- 長崎県立佐世保北高等学校3年
- 第18回エコノミクス甲子園全国大会優勝
私はIEO2024に参加して大きな刺激を得ました。英語と学問に向き合う姿勢、そして人と関わることへの刺激です。
IEOは経済に関する理解を問う大会ですが、全て英語で行われます。海外の人と交流するときは当然英語で話さなければなりません。経済や金融の知識、運用能力があることに加えて、当然のように英語を使えないと大会の結果は振るいませんし、海外の人とも交流しにくくなります。
英語力は必須と知りながら自分の英語力に自信を持てずに臨んだのを悔いつつ、これから正しいやり方で自分の目標とする英語力を絶対に身につけようと思いました。
外国の高校生は当然のように英語ができることに加えて、大会の成績も凄かったです。彼らがそれぞれどんな背景で経済学を勉強したのかは分かりませんが、少なくとも私よりもずっと早く勉強を始め、ずっと効率的に勉強していたのだと思います。海外の高校生より遅いとはいえ、私はエコノミクス甲子園やIEOで経済を知ろうとする機会を得ることができたので、それを無駄にせず、これからも経済や金融について学び続けようと思いました。
大会中、海外の高校生と交流する機会がたくさんありました。海外の人との交流は本当に楽しく、普段学校にこもっていては分からない世界の広さを感じました。特に日本語を話せる香港人の方がいらっしゃって、彼と日本のことをお話できたことは最高の体験になりました。また、海外には人とのコミュニケーションを大切にしている人が多い印象を受けました。
私は普段、自分からコミュニケーションを取ろうとすることが多くないので、もっと自分から話しかけることを増やし、人との関わりをこれまでより大切にしようと思いました。
大会期間中だけでなく大会前にも、東京大学の青木教授や大学院生の皆さんとオンライン勉強会で関わり、本当に貴重な経験をさせていただきました。
貴重な経験を与えてくれたIEO2024に関わってくださったすべての方々、本当にありがとうございました。
大久保優樹 Yuki Okubo
- 長崎県立佐世保北高等学校3年
- 第18回エコノミクス甲子園全国大会優勝
IEOに参加するという貴重な経験をさせていただき、ありがとうございました。今回IEOに参加し、たくさんのことを学ぶことができたことは一生忘れることのないものになると思います。
大会前の勉強では、東京大学の青木先生や、大学院生の皆さんに経済学を教えていただきました。また、個人的には大会前に東京で行われた壮行会にて、私がネクタイの結び方がわからず困惑していたところ、青木先生が結んでくださったことが非常に鮮明に記憶に刻まれています。
香港に到着してからは、各国から集まった代表との交流の場が多くありました。様々な国からの人と話す中で、学校で経済学の授業が開かれていたり、国を挙げて大会への支援をしていたりするなど、自分の勉強は全然足りていないな、ということを気づきました。筆記試験の後にも、自分では思いつかないような視点からの解釈を聞かせてくれたりするなど、世界にはすごい人がたくさんいることを思い知りました。中には政府が大会を支援し、数万人の中から代表を選んだ国もあり、熱意をもって大会に臨んだ各国の代表からたくさんの刺激を得ることができました。
後半に行われたビジネスケースでは、香港が抱える住宅不足という課題への対応策を問われる課題が出されました。香港という場所の政治的特性に配慮する必要があったほか、香港当局が行っている政策を調査する際、公文書が中国語のみであり、情報収集に苦戦してしまったのは難しい点でした。日本などの自由競争が働く資本主義社会と香港の違いを感じる機会となりました。
最後に、これを読んでいる皆さんに伝えたいことは、経済学はとても興味深く、魅力のある学問だということです。経済学を学ぶことで、人がなぜどのように行動するのか、どのような社会システムを作ると人々を幸せにできるのか、ということを明快に理解することができます。私は経済学を学ぶことで社会への見方が大きく変わり、世界へ送り出していただくという貴重な経験までさせていただきました。社会の在り方やシステムに少しでも興味のある人には、経済学を学び、世界に挑戦してほしいと思っています。
小川琳太郎 Rintaro Ogawa
- 横浜市立横浜サイエンスフロンティア高等学校2年
- 第18回エコノミクス甲子園神奈川大会代表
エコノミクス甲子園に出場してから、EACなど様々なことがあり、気が付いたらIEOに出場していたというような状態で、最初は私がIEOに出場できるとは思ってもいませんでした。しかし、幸運にも銅メダルをいただくことができ、またこの大会に参加してよかったと心の底から思います。
IEOには、様々な国から優秀な生徒が参加していて、その方たちとの交流から、大きな刺激を受けました。皆さん目指すところが高く、日本にいるのでは味わえない経験をすることができました。
また、それぞれの問題についても、例えばEconの試験では、単に知識を尋ねる問題だけでなく、それをどのように応用しアウトプットするのかというところまで問われる問題も多く、大変面白かったです。またビジネスケースでは、テーマに対する理解と分析もさることながら、チームワークや協力の重要性を痛感しました。
そして、開催地の香港の美味しい中華料理や、チームメンバーとディズニーランドに行ったことなども、印象に残っています。私はまだ高2ということで、これから再び努力を重ね、来年の代表に選出していただけるように、そして、来年銅よりも上の色のメダルを日本に持ち帰ることを目指して頑張っていきます。
文字数が余ったので香港の思い出を書きます。香港には意外とひらがなやカタカナが多くおもしろかったです。その中で特に印象に残ったことは、試験監督の人が着ていたTシャツにひらがなで下ネタが書いてあったことです。このことから伝えたいことは、試験会場に何があっても動揺せず、問題に集中することです。100パーセントの力を出し切ることが結果を出すために一番大切だと思いました。
室谷あい Muroya Ai
- 宮城県仙台二華高等学校3年
- 第18回エコノミクス甲子園宮城大会代表
私は経済学が好きなわけではありません。特別得意であったり、知識が豊富なわけでもありません。では、なぜ私が今こうしてこの文を書くに至ったのでしょう。それを1番知りたがっているのは他でもない私です。
さて、この度図らずしもIEO2024香港大会に日本代表として参加する幸運に預かった身として、徒然なるままに感想を書き記そうと思います。
この大会を通して1番興味深いと思ったのが、10代の高校生であっても出身国の政治的イデオロギーを言動に反映させていたことです。ネームタグに書かれた国名の“North”を修正テープで消して隣国ギリシャチームに意味ありげな視線を送りながら開会式で入場した北マケドニア、ロシアチームの入場の際に拍手がまばらになる各国、閉会式でのメダル授与の際に台湾チームの選手には拍手を送らない中国チームなど、平和の祭典「オリンピック」の名を冠していても現実世界の情勢を色濃く反映していたのは印象的でした。
加えて、競技の日程を通して痛感したのがパイオニアの大変さです。選考プロセスや対策といった点においてまだまだ我々がノウハウ不足の中で、世界の壁の高さを実感しました。そして、日本チームの場合には言語の壁という大きな障壁も立ちはだかります。もう少し良い成績を残したかったというのが正直な思いですが、今大会での学びを来年以降に活かし、未来の日本代表がさらなる飛躍を遂げることを祈っています。
香港はまた来たくなるとても素敵な街でした。受験の天王山、高3の夏休みの2週間弱を犠牲にはしたものの、それより大切かもしれない青春の1ページを素敵な思い出で埋めることができました。
最後に、支えてくださった全ての方々、金融知力普及協会と学生スタッフの皆様、ご指導くださった東京大学の青木教授と大学院生の皆様、4人のチームメイトと補欠の4人の仲間、そして私を香港まで連れて行ってくれた運命の綾に感謝申し上げます。
ありがとうございました。
尾崎梨乃 Ozaki Rino
- 大阪府立富田林高等学校3年
- 第4回リアビズ グランプリ模擬企業「ぷるーとん」メンバー
私は、「大人になって人生を振り返った時に、IEOに出て良かった!と、IEOを人生の”ハイライト”にすること」を目標に挑みました。”ハイライト”という言葉は、スポーツ番組などの最後にその試合の一際輝いたシーンなどを流す時に使っていると思います。つまり、人生の”ハイライト”にするという私の目標は、人生の中で輝く経験にするという事です。この言葉は私の担任の先生がおっしゃっていて、とても素敵な言い方だなと思ったのでIEOの目標にしました。
私はリアビズからの出場ということもあり、エコ甲から選抜された他のメンバーとは経済学の知識が天と地の差で正直不安で仕方なかったです。初めてマンキューを開いた時は何も分からず、「私に経済学は向いてない」と思いました。しかし、EACや東京大学大学院経済学研究科の青木教授と院生の皆さんとの勉強会を通してたくさんの刺激を受け、勉強を進めていくうちに徐々に経済学って面白いかも!と思うようになりました。
開催地である香港に到着し、あっという間にMQ、OQ、FLの試験が行われました。試験中は今までの勉強会などを思い出し、時間いっぱい頑張りました。
今回のビジネスケースは香港政府に提案をする形で、リアビズで得た発想力を活かして案を出そうと頑張りました。しかし、リアビズでは可能だったような案でもビジネスケースとなると経済学的に考えて不可能な案があり、とても難しく過酷な24時間でした。リアビズで人事法務部を担当していたので、ビジネスケースではリーダーとしてみんなの担当の割り振りや、時間管理を行いました。深夜3時、スライドの提出が完了した時はとても達成感を感じました。
そしてなにより私が1番楽しみにしていたと言っても過言では無い国際交流。最初はたくさんの言語が溢れている空気感に圧倒されていましたが、自分から積極的に話しかけてたくさん友達が出来ました!そして、たくさんの国の人と関わる中で、たくさんの言語、文化を学びたいと思いました。
最後に、りんたろう銅メダルおめでとう!
そして、一緒にIEOを駆け抜けた4人のメンバー、本当にありがとう!
間違いなくこのIEOは私の人生のハイライトになりました。ありがとうございました。
安居 憲次郎
- 東京大学
- ボランティアスタッフ
東京大学3年の安居憲次郎と申します。IEOの選考大会である「リアビズ高校生模擬起業グランプリ」のOBであり、現在はボランティアとして大会運営をサポートそています。この度のIEO2024香港には、日本代表の引率として同行させていただきました。約2週間の高校生の活躍と課題、展望をわずかながら書き記させていただきます。
約2週間の大会期間、日本代表5名がベストな形で挑めるようサポートしました。彼ら彼女らはそれぞれに得意・不得意を持ち、お互いに支え合い、励まし合いながらIEOを乗り越えていく様子が見られました。Financial Literacyの試験直前に、理解しきれていない知識をお互いに教え合っている場面は特に印象的でした。
今回は2年目のIEO参加となり、昨年の反省を踏まえて準備を施した上での挑戦でした。日本代表5名はそれぞれの全力を尽くしましたが、世界には及ばない部分も多くありました。他国と比較して、選抜の規模や方法、トレーニングにはまだまだ改善の余地があることを実感しております。
ただし、結果が全てではありません。高校生ぞれぞれが一生涯に影響する刺激をオリンピックを通して得られることが最も重要であると感じます。この本質を見失うことなく、より良い体験を高校生に与えられるよう今後とも大会運営に協力してまいります。
■審査員として
50ヶ国以上のプレゼンテーションを審査するため、チームリーダー及びオブザーバーからの審査員の募集がありました。今回、代表チーム事前準備のプレゼンテーションを指導していただいた辻夫妻がオブザーバーとして参加しており、お二人とも元ビジネスコンサルタントということで、審査員としてご参加いただきました。
辻 昌子 様
グループ6の審査員として参加させていただきました、7か国が発表、うち3か国がオンライン参加でした。
10分間のプレゼンと10分間のQAセッションで本番は構成され、24時間以内で情報収集をし、提案内容をまとめ、プレゼンを準備する流れですが、まずチームワークとリーダーシップを発揮する場として、高校生には素晴らしいチャレンジの機会だったと思います。
単純に情報収集しまとめるだけではなく、課題解決のための提案を組み立てる、また10分間のプレゼンをどう準備するか悩みながら最後まで諦めずに準備をした光景が目に浮かびます。 私が参加したグループは現地参加の国が多かったので、生徒達全員が役割をもってプレゼンに参加し、熱量がとても伝わり、こちらも熱くなりました。
今回のテーマは香港の住宅危機への取り組みでしたが、政策、経済、といった広い視野での課題への取り組みも、経済オリンピックならではでの貴重な経験になったのではないでしょうか。
辻 隆征 様
IEOよりアサインされたグループ4(パキスタン、トルコ、インド、ポルトガル、マレーシア、ケニア、アルバニアの7カ国)の予選グループの審査を行った。審査員は他にブラジル、カナダ、香港、インドネシア、USA、アルメニアであった。 このグループ審査を通じて感じたことは、
① 代表メンバーを支えるサポートメンバーの層の厚さ
事前の過去問題に対する対策のほかに、ビジネスプレゼンテーションの訓練を受けているかどうか、ビジネス向け資料の作成練習やレビューを受けているか等の大人の視点で見たときにどのように評価するのかの経験の有無で結果に差が出たように思う。
② 審査員のレベルの高さ
審査員は引率メンバーも含む50名を超える審査員で構成されたが、オリンピックらしいというべきか非常に高いレベルを求める傾向が強かったように思う。つまり未熟な部分を質問で掬い上げて加点に導くようなアプローチは各チームに対して1回程度にとどまり、強く論理性と金融経済の知識とスキルの発揮を評価する姿勢を感じた。
③ アジアや東欧各国メンバーの知識・スキルの高さと完成度
金融立国といえるシンガポール、台湾、香港、インドネシア、マレーシアやロシア、UAEなどの参加者のベーシックな金融経済の知識とスキルは、自国の法律や制度にとどまらずグローバルにつけるのが当然という価値観で育成されているのではないかと思う。とにかく視野が広い。また成功事例や失敗事例も含めてのリサーチ能力や分析能力が高く、その情報を使って論理を組み立てることも手慣れているように感じた。
ブラジルとインドネシアの審査員と会話したが、ブラジルは国内1万8千人から選ばれたトップ5が今回参加しているとのこと。帰国後はほとんどのメンバーが有名国立大学の経済学部などへの推薦入学が約束されているとのこと。インドネシアも同様に非常に裾野の広いところから参加者を募り競争を経てこの大会に参加しているとのこと。つまり、参加者に強いハングリー精神があり粘り強い気質を持っているメンバーがほとんどだと言っていたのが印象的だった。個人個人が強いのが世界強国の参加者の特徴といえる。
日本はまだ参加年数も浅く国内バックアップ体制も脆弱な状態で参加メンバーの個人のタレントに頼ってのメダル獲得という印象が強いので、2027日本大会に向けてはメンバーだけでないサポート体制の構築と強化と高度化が必須であると感じた。
■IEO2024香港大会日本代表結果
7月30日に閉会式が行われ、日本代表5名のうち、小川琳太郎さん(横浜サイエンスフロンティア高等学校2年)が銅メダルを獲得しました。
小川さんは、昨年度の第18回エコノミクス甲子園神奈川大会に優勝して全国大会に出場し、筆記試験の成績と英語力を評価され、IEO2024香港大会の日本代表選手に選抜されました。
国際経済オリンピック(IEO)では、国際数学オリンピックなどと同様に、上位12分の1に金メダル、次の上位12分の2に銀メダル、次の上位12分の3に銅メダルが授与されます。
小川さんは237人中75位と、惜しくも銀メダルには届きませんでしたが、好成績を残しました。
また、日本代表の総合成績は、51か国中39位でした。
銅メダルを獲得した小川琳太郎さん
■IEO2027 日本招致決定!
2027年の国際経済オリンピックは日本で開催します。
IEO香港大会の閉会式で、国際経済オリンピック2027年大会の開催地が日本に決定したアナウンスがありました。
これは、昨年のギリシャ大会への参加を経て、金融知力普及協会として世界に貢献できる機会であるとの認識を持ち、大会開催地への立候補を行ったものです。
日程 2027年7月26日~8月4日
会場 国立オリンピック記念青少年総合センター
想定参加国数 75か国
記念すべき十周年の大会でもあり、成功に向け力を尽くします。
ぜひ皆様のご協力を、引き続きよろしくお願いいたします。
■EAC2024とは
概要
日本にとっては国際経済オリンピック本選への最終選考となる、Economics Asia Convention (EAC)2024は、2024年3月24日~30日の7日間、東京で開催されました。参加は、日本(10名)、マカオ(10名)、ネパール(2名)、香港(1名)の計4か国23名でした。
日本から参加した10名は、前月に行われた第18回エコノミクス甲子園全国大会、その全国大会と同時に開催されたIEO特別選考、2023年度に開催された第4回リアビズ 高校生模擬起業グランプリのそれぞれで優秀な成績を収めた高校生たちです。このEACでの成績をもとに、代表の5名が選出されました。
EACは、IEO本番さながらのスケジュールで経済学の試験とビジネスケースのプレゼンテーションを行いました。ビジネスケースのプレゼンテーションは、本番のIEOでは各国ごとのチーム戦で行われますが、EACでは、国籍を混合したチームで行い、英語でのコミュニケーションや、文化の違うチームメイトと議論しながらプレゼンテーションに向けた準備をしていました。
また、筆記試験の前には東京大学の青木教授による特別講義もいただきました。
試験以外にも、国際交流・文化交流のため、ビジネスケースのチームごとに東京観光を行ったり、茶室で茶道体験を行ったりしました。
主催は、認定NPO法人金融知力普及協会と香港のKNIGHTS財団が務め、公益財団法人笹川平和財団のサポートをいただきました。
■国際経済オリンピックの主催者
lEOの主要人物
IEOの組織体制
国際委員会
戦略立案、重要な意思決定に
責任を持つ
理事会
IEOの方針と運営を管理する
評議員会
IEOに対しての長期的なアドバイスを行う
中央事務局
長期的なパートナーシップ、ウェブサイト、資金調達など、IEOのすべての継続的な運営を担当する
運営委員会
各国際大会の運営を行う
毎年変更になる
問題委員会
IEO課題の作成に携わる専門家や、採点の透明性・客観性に責任を持つ教員で構成される
IEOチームの主なタスク
経済学、金融リテラシー、ビジネスケースの3つの出題分野に対して、下記の方法で、高品質な問題の作成を目指す
- 方法論、問題集、解法のデータベースの作成
- 金融リテラシー試験出題方法の模索
- ビジネスケースの作成を行う大規模コンサルティングファームの誘致
将来の国際大会開催国の誘致、工程管理、品質管理への支援
各国の教師による経済学教育の経験交流会の開催
講演会、著名な講師を招いた会合、参加者の交流の場となるエンターテイメントイベントなどを開催
文章管理など
■後援
■協力
■日本代表派遣パートナー
——————————–
過去大会報告書一覧
IEO2024 香港大会
IEO2023 ギリシャ大会
——————————-